コーヒー実験のナゾ?(その5)

さて,砂糖はどうでしょうか。

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私の予想は「音程は変わらない」です。「やはり砂糖はコーヒーやココアなどの加工食品とは違う」という気がしたからです。とは言っても,「なにが違うのか」はわかりませんでしたが。

実験です。今までと同じように砂糖をお湯に溶かして,スプーンでカップでたたく音を確かめます。

 

私の予想通り,音程に変化はありません。やはり砂糖はコーヒーやココアとは違うようです。

これまでの結果を確認すると,

1.コーヒー,ココア,クリーミングパウダー………など多くの粉末は音程が変化する。
2.紅茶のように葉からしみ出す場合は音程が変化しない。
3.砂糖は音程は変化しない。

ということです。しかし,こう整理しても,私には何がなんだかわからなくなっていました。いったい音程の変化を生み出す原因が何であるのか,手がかりを失ってしまった気分です。この日は,結局ここで実験を中断することにしました。

その後私は,いろいろなところでこの実験を見せて(聞かせて?)みました。何か研究のヒントが得られるのではないかと思ったのです。または,私が無知なだけで,この現象は既知のもので,どこかですでに解明されているのかもしれません。

反応はどうだったでしょうか。最初この現象のことを説明すると,実験する前まではほとんどの人が,最初の私と同じように,「気のせいではないか」と言います。実験しても,「音程など変わっていない,気のせいだ」と主張する人もいました。

でも多くの人は実験に驚き,興味深く思ってくれます。しかし,理由となると誰も説明できません。物理や化学の専門家も,素人も同じです。すでに答えが得
られていて,どこかの本に載っていることなら,知識のある優等生や専門家が有利ですが,この実験のように,誰も答えを知らない問題の場合は専門家も素人も
対等になってしまうのです。

さて,私は手当たり次第いろいろな人にこの現象を宣伝して回ったのですが,ある人がこんなことをいいだしました。「コーヒーなどの粉末製品には,すばや
く溶けるようにするために発泡剤が入っていると聞いたことがある。それによって生じる泡がこもった音の原因なのではないか」というのです。

もしコーヒーが溶けるときに,微細な泡が生じているとしたら,その泡がこもった音の原因になっていることは,じゅうぶんあり得ます。もし,このことが正しいとしたら,どのような実験で確かめたらいいでしょうか。