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たのしい科学の伝統に立ち返る

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追悼:板倉聖宣先生

   


 本日2018年2月7日,私の師である板倉聖宣先生が逝去されました。写真は私が当時国立教育研究所に勤めておられた先生の元に,半ば強引におしかけて弟子にしてもらった頃のもの。たぶん,1992年かその翌年くらい。もう25年くらい前になるのか。私は30代になったばかり。若い。

 当時電話で先生に「弟子入りしたいので研究室に通いたい」と告げたとき,「来たければ勝手に来てもいいけど,ボクはなにも指導するつもりはないからね。」と冷たくあしらわれたことをよく覚えています。

 ところが,「それでもいいです」と言って実際にうかがうと,大変歓迎していただき,いろいろと指導を受けました。「最初からやさしくして期待されると困るから」とおっしゃっていました。ようするに,厳しくあしらってもめげずに来るやつかどうか,やる気を試されていたのでしょうね。

 当時,私は定時制高校に勤めていて,午前中の時間帯に目黒の研究所まで通っていたのでした。「我ながらよくやったものだ」と当時の自分を褒めてやりたい。大学時代は,完璧に落ちこぼれ,留年しながらほとんどビリで卒業した私が,こうして一応研究者の端くれとしてやっていけてるのは,すべてこの時代の板倉先生のご指導によるものです。

 どんなぼんくらでも,「超一流の先生のもとに数年通えば,少しはものになるもんだ」…などと思っています。
(「いやいや,まだまだお前はぼんくらのままだよ」という声が聞こえてくるような気もしますが(^_^;)

 先生に受けた恩は計り知れません。これをお返しするのは,しっかりと先生の志をうけついだいい研究をするしかないですね。先生のあのころの研究中の迫力ある後ろ姿を思い浮かべて,ただただ自戒するばかり。まだまだ研究者として,板倉先生の足下どころか,足の指紋にも及ばない私ですが,残りの人生,少しでもなんらかの足跡を残したいものです。

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 - エッセイ, 仮説実験授業, 科学教育研究

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