事前アンケートの記述欄を見ると,この研修の参加者たち多くが,「楽しい理科の授業がしたいが,そのやり方がわからない」と思っていることがわかった。以下にいくつかを引用する。
・自分自身が理科についての知識が少ない為,どのようにしていくと子どもが関心を持ってくれるのかを学びたい。
・私自身理科の知識が少ないため,児童が関心を持って授業にとりくむ様子をだす方法が分かりません。
・理科ギライの子どもを減らしたい。
・理科を好きと思わせるためには,どうしたらよい?
・私自身,理科を苦手として,ここまで来たので,“楽しく教える”“興味が湧くように教える”ということがうまくできずにいます。
・教えるべきところを,つい教え込む授業になってしまい,一方的な授業になってしまいます。
・どうしても教科書通りの進め方になって,楽しくなくなりそう。(やらされているような授業になりそう)
・とにかく,何がわからないのかわかりません。大学で学んだことはおぼえていますが,現場でどう使えばいいのかも,よくわかりません。でも楽しい授業を考えたいです。
特に最後の文章には,「自分でも何がわからないのかわからない,でもとにかく楽しい授業をしたい」という,この先生の切実な,そして誠実な思いがひしひしと伝わってきて,半ば感動に近い気持ちをおぼえた。
その他に,
・子どもの“予想”→“実験”→“結果”→“考察”の流れのそれぞれのつなぎ方について,特に予想と結果が異なる場合
・仮説・実験,まとめを1時間の授業時間内にできない
・予想を立たさせる際,どこまで説明し,どう発問するかがむずかしいです。
という記述があった。昔は仮説実験授業以外で「予想」とか「仮説」という言葉を聞くことはなかった。むしろ心理学者や教育学者からは否定的な見解が出されたものである。ところが現在では,中途半端に仮説実験授業の研究成果が流布しているのだろう。彼らはおそらく大学の授業や指導書,研修会などで「生徒に仮説をたてさせ…うんぬん」とか「予想をたてさせることが重要」と言われながらも,具体的な方策が見いだせないのではないか,と感じた。
また,
・まったく見当違いな実験結果が出てしまった時にどうすればいいか知りたい。
・実験の結果や観察の結果が理想通りに行かず,困ったことがあります。
というのもあった。教科書に書かれた実験結果と異なってしまって,立ち往生してしまうのかも知れない。真面目な先生ほど,こういう場面では困ってしまうに違いない。
さらに,
・何かいい参考書やホームページを知りたい
・多くの学びがいがある,充実した研修になるよう頑張ります。
という記述もあった。
仮説の醍醐味は討論だと思ってます。
小学生で「ものとそのおもさ」の授業書を受けているとき,とにかく討論がおもしろかったです。
予想が異なる相手をいかに納得させるか自分なりの考えを構築して戦わせたり,反対に相手の考えに納得させられ予想変更したりと,短い時間で頭の中はフル回転。時にはけんか腰になりながらもものすごく教室の中が活気づいていました。予想が外れたって,悔しいけど達成感がありました。実際に実験をして自分の目で確かめているのですから,納得せざる終えないですしね。
与えられたものをただおぼえるのでなく,自ら予想し考え実験をして見いだして得られた知識は光り輝く物があり,そこから多くの知識に派生していく物だと思います。なにより楽しいし,もっと学びたいという意欲がわきますね!
その時の担任の先生が授業の記録を丁寧に取っていてくださって,週報として配布されていたので,今でも時々見返したりもします。
ぜひ,先生方も一緒になって理科を楽しんでほしいですね。
みさきさん,素晴らしい先生に教わったのですね。みさきさんのような経験をする小学生が増えれば,まさに理科離れはあっという間に解決してしまうと思います。