酒好き

 ボクの友人はもれなくご存じだと思うが,ボクは酒が大好きである。
 酒を飲んでしまうと,気持ちよくなって飲み過ぎてしまうのだが,ある程度飲んで酔っ払ってしまうと,普段簡単にできることができなくなってしまう。


 それはたとえば家の鍵をあけることだったり,PCのキーボードを打つことだったり,しゃべるのだって,ろれつが回らなくなってしまって,うまくできなくなってしまう。
 冷静になって考えると,これって,自分が老人になって衰えたときや障害を負ってしまったときの疑似体験に近いのではないだろうか。
 普通にできていることができなくなる。
 ボクらは今,普通にしゃべったり,歩いたり,考えたりすることが当たり前だと思っている。
 でも,いつかボクたちは歳を取り,きっと障害を持ち,不自由になり,やがて人生を終える。
 今,普通にできることがいかにすごいことなのか。泥酔していろんなことが満足にできなくなるたびに,今自分がいる環境に感謝するとともに,今を大切にしようと思うのである。
 そういうことを忘れそうになると,ボクは自分を戒めるためにあえて深酒をする。
…本当かよ。