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たのしい科学の伝統に立ち返る

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科学実験機器のルーツ [0]はじめに

      2017/11/24


 一般的に科学教育といえば,学校教育の中で制度化された科学教育のことをさす。

 学校教育の中で科学教育が本格的にとりいれられていくのは,主に1800年代に入ってからである。明治期初頭に日本で科学教育が導入されたのとあまり時期はかわらない。したがって,日本での科学教育導入は,世界からみても,さほど遅くはない。

 したがって,『科学開講!』に掲載された,京大に現存する旧制三高で使用された科学実験機器類は,科学教育のルーツといってもいいだろう。

 しかし,科学教育を〈科学者が発見した知見を他の人々に伝える作業〉ととらえるならば,科学教育はそもそも近代科学が誕生した時代,つまり1500年代末~1600年代初頭までさかのぼれる。

 一般的には,そのような学校教育として制度化される以前の科学教育は,前史あるいは,未熟な科学啓蒙の時代ととらえられている。しかし私は,学校教育にとりいれられる以前の科学教育・啓蒙こそ本来の科学教育だと考えている。

 『科学開講!』のコラムは,そのような視点で執筆したため,私の解説はそれが使用された1800年代よりもずっと古い時代,近代科学が誕生したガリレオの時代にさかのぼって書かれている。

 最初執筆した原稿は,「ガリレオの望遠鏡による天体観測」,「ボイル,ゲーリケの真空実験」といったような大項目に分けて,科学史の流れに沿って執筆したものだった。この本では,実験機器の美しい写真が中心のビジュアル本なので,もともとの私の原稿が各実験器具ごとに切り貼り再編集されている。

 それは決して悪い事ではなくて,編集者の努力によって,私の原稿が明治期の各実験機器の中に違和感なく配置されたと思う。

 一方で,この本を読んで私のコラムを評価してくださった方々の中から,「もともと執筆された形で原稿を読みたい」という要請もよせられた。

 そこで,もともと執筆した原稿にさらに手を加えて,このブログで連載していくことにした。

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 - 科学実験機器のルーツ, 科学教育史

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