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たのしい科学の伝統に立ち返る

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北米旅行記(15)発表その2(大会4日目2012/7/30)

      2015/04/05


(前回の更新から半年以上ブランクが空いてしまいました。意欲がわいてきたので連載再開します。気分屋なので,いつまで続くか分かりませんが,とりあえずこの連載はなんとか完結させたいと思っています)。2013.8.6. 天然1号のカメラで撮影した動画があったので,そこからキャプチャした画像を入れて修正しました。


発表内容は,板倉・塩野著『吹き矢の力学』(仮説社2005)にある実験である。この実験は,小学生から高校あるいは大学まで,力と運動の法則を導入するのに大変効果的だ。力を加える時間を長くすれば長くするほど速さが速くなることを感動的に実感できる。
授業でこの吹矢実験を実施する場合は,定量的な測定はほとんど必要ない。「筒を長くすればするほど飛距離が伸びる」ということが一目で明らかなので,それを示すだけで充分感動的に動力学を導入できる。
fukiya

 


とは言っても実際は,〈どの程度摩擦などを考慮しない単純な法則にしたがっているのか〉が気になるところである。そこで私は以前,筒の長さが3mくらいまでは力学の基本法則による予測にほぼ一致することを確かめ,AAPTの雑誌The Physics Teacherに発表した(The Blowgun Demonstration Experiment (TPT Vol.  46,334,2008))。
今回の口頭発表では,この吹き矢実験のデモンストレーションを行い,大学理学部での予想分布と,筒の長さと到達距離の測定結果を示すことにした。
吹き矢そのものは,欧米ではあまりなじみがないようである。古代から,弓は西洋にもアジアにもあって兵器として利用された。ところが,吹き矢はアジアにしか生まれなかった。その理由を板倉聖宣さんは,「西洋には竹が無かったからだ」と述べている。竹があれば,「竹筒の中に矢を込めて吹矢を作る」という発想が生まれるのだが,欧米には竹が無いので,そのような発想が生まれなかったらしい。
現在では吹き矢のものは欧米でも知られているようだが,あまりなじみがないので,力学教育に使うという発想はほとんど無かったらしい。もっとも日本でも,板倉さんが着目する前まではほとんど力学教育にこの実験が使われることはあまりなかった(とはいっても,最初に力学教育に導入したのは科教協の人たちである)。
発表会場に着いたのは,発表の20分ほど前である。前回書いたように,教室は満員で,廊下まで人があふれている。廊下で準備して,予備実験のため矢を飛ばしていたりしたら,通りがかった人に”Oh! dangerous”などと言われたりした(^^;)。
そうこうするうちに,前の発表が終わり,自分の発表の時間が来た。日本でも,過去に何度かこの実験はデモンストレーションは発表しているが,いつも大変好評である。吹き矢の実験は見た目がわかりやすいし,その結果があまりに見事なので,大変効果的な実験である。仮説実験授業の運営法と同じように,予想に手を上げてもらいながら発表をすすめた。

米国の人々が予想に手を上げてくれるか,いささか不安だったが,上の写真のように,みなさん喜んで手を上げてくれ,しかも,実験結果には何度も歓声の声が上がった。
fukiya2
ネタバレするから詳しくは書かないけど,この実験の後,拍手ももらった。感想はとってないが,感触は大成功だった。
発表後,廊下に出ると数人が声をかけてくれた。中でも大学で物理教育を専攻しているらしい若い女性は,大変感銘を受けた様子で,「ぜひ自分の所でも実験する」と言ってくれた。
日本でもこの実験は好評を持って受け入れられるが,吹き矢になじみがない分,さらに感動してくれたようである。うれしく思うとともに,ほっとした。

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