先日,高3物理の授業で「コーヒー実験」のプランを実施した。受験直前にもかかわらず,全員が楽しんで授業に参加してくれた(「コーヒー実験」については,当ブログのカテゴリー「コーヒー実験」の一連のエントリーをご覧ください)。
授業後に書いてもらった感想には,「大学でこのような研究をしてみたい」,「実験を繰り返して確かめていく過程ににわくわくした」という趣旨の感想が多く,さすが理系に進学しようとしている人たちの感想は素晴らしいと思った。
今まで何度もこの「コーヒー実験」を高校生,大学生,大人に実施してきたが,今回の感想が一番,科学方法論に関するものが多かったように思う。
以下に彼らの感想を紹介する。
- ふだん計算ばかりやってて忘れがちになるけど,実験結果の予想にすぎないのが計算で,本当に大事なのは,実験のくりかえしなのだと思いました。
- 今日の実験について
面白かったです。
抹茶があったらよかったかもしれません(笑)
大学入ってもこういったのが出来るとイイですね。
ありがとうございました。 - 今まで気にしなかったことの中にも
おもしろいことがいっぱいあるのだと思った。
それを論文にしたのもすごいと思った - 最初は粉がとけきっていなかったから音が低くなっていたのかと思っていたが泡が関係しているとは思わなかった。
コーヒーとココアがあつかったために舌がまだ痛い(笑) - 自分も大学で身近なものだったりで,何かを研究してみたいと思った。
- 身近なことでの実験であり,難しい式を使わずとも説明できる楽しい実験だった!!
- 実験をして自分の考えた事が本当かどうかを確かめるのがいかに重要であるかを知りました。
- 全く予想がつかなかった。他の身の回りの変化なども気になりました。
- いろいろなもので実験してみて,少しずつ仕組みなどわかっていくのが楽しかった。
- コーヒーの粉を入れたときに泡が出ているとは思えなかった。クリーミングパウダーも同様。
コーラはわかりやすがったが…。本当に気泡が原因なのか…? - 身近な事柄から興味を持つ実験ができておもしろかった。
思った以上に複雑でした。 - とてもおもしろい実験だった。
私も日常生活の些細な事から小さな発見をして自分で実験をしてみたいと思った。 - 久々の実験だったので楽しかったです。原因を求めるためにいろいろな結果を積み立てて考えていくのはやはりわくわくします。
- 音の変化をちゃんと聞き分けることができたのが楽しかった。音楽やってたのがいかされて,ちょっと嬉しかった。
- 身近な事であっても気づいていない事がたくさんあると思った。
それに気づいて実験するのは素晴らしいと思った。 - 身近な事におこる普段は気づかないようなことを詳しく調べ,その原因を調べるのは楽しかった。これから身近におこる不思議なことがあれば調べてみたいと思う。
- 普段の生活の中でも,物理が使われているんだなと改めて感じた。柔軟な考え方って大事だなーと思いました。
- 飲み物がおいしくてよかった。
普段自分が行動している中でこういう変化があるのは面白い。
そういうことにもっと注意深く生活したいと思った。 - コーヒーから物理的に考えられるのなら,もしかしたらまだ生活のどこかで何かあるんじゃないかと思った。
- 最初は物が完全に溶けきらないと音が変わるのかと思っていました。
泡でそんなに変わるのかとびっくりしました。
コーヒーおいしかったです。 - こんなささいなことが物理の研究対象になるなんておもしろいなと思った。
普段からいろいろな事に興味をもって不思議な事を発見したいと思いました。 - 日常の事だけどいがいに気づかない事の実験で楽しかった。
これに最初に気づいた人はどんな人なのかと思った。 - 世の中のたくさんの解明されていない物理現象がどういうものなのか知りたくなりました。
- 泡によってコップの底の音が変わるのは意外だと思ったし,何でもない日常のものから法則性や変化を見つけ,研究できるのかと驚かされた。
- 家で入浴剤を入れてやってみたいと思います。
- このコーヒー実験では意外と身近なところでおこることだったので気づきませんでした。泡というのは音を変える効果があるということを学べました。おもしろかったです。
- 今日のコーヒー実験を終えて,最初このコーヒーの音程の変化は,コーヒーの粒の大きさや,カップの熱さなどが関係しているのかと思ったら,実験を通して,それらが関係せず,ただ泡があるかないかという結果に驚いた。あと砂糖から泡がでているのに驚いた。
・音の変化をちゃんと聞き分けることができたのが楽しかった。音楽やってたのがいかされて,ちょっと嬉しかった。
この方の感想,「ちょっと」とありますが,心の中は「すごく!」という気持ちで一杯です。奥床しい表現に本音が隠れている。ハニカミながら表情がクシャクシャになっていたはず。
・こんなささいなことが物理の研究対象になるなんておもしろいなと思った。
普段からいろいろな事に興味をもって不思議な事を発見したいと思いました。
この方の「ささいなこと」はまさに,「神は細部に宿る!」という驚き。昔の科学者が顕微鏡を見て発見した喜びに通ずるものがあると思います。
この高校生の作文,すごいなぁ。仮説冥利に尽きる感想ばかり。こういう気持ちを持った高校生がたくさん大人になると,日本が変わるチャンスだと思います。思想・信条を持ちながら,真理を仮説・実験で見極められる。日本人が国際社会から信頼を得られるそんな時代が早く来てほしいと願います。この年末年始だから,とくにそう思います。
ところで。仙台如何でしたか。研究色の濃い宮城サークルは心地よかったのでは?
ケンヂさん,コメントありがとうございます。
ボクの勤務先では,高3になると大学受験対策のために,あまり仮説実験授業に時間をかけられなくなります。それでも,物理を楽しんでもらいたいと思い,できるだけ演示実験や,科学史的なエピソードをまじえながら,授業をしています。
センター試験後のコーヒー実験も,「それどころではない」と言われるかと思ったのですが,そんな感想は全くなく,みんなとっても楽しんでくれていました。本当にすばらしい生徒さんたちです。
仙台はまだ行っていません。これからです(^^;)。